ふろっしゅさんも読書三昧のようだけど、
今、浅田次郎の≪天切り松闇語り 第二巻 残侠≫というのを読んでいて、ふとある人を思い出したのでちょっと書いてみることに・・・

私が小さいころ、母が寝込みがちだったので、近所のおばあちゃんが私の世話をしてくれていた事があった。
その縁で、母が元気になってもいつでも私たちのそばにそのおばあちゃんがいた。
誰よりも素晴らしく物分りがよくて、晩年は思春期の私の良き理解者だった。
このおばあちゃんは、人形町の鳶の親方の娘だったこともあって、とにかく粋な生き方をしていた、天然記念物クラスの江戸っ子。(もう、あんな人は絶滅したんじゃないかな?)
15で板前と駆け落ちをし、一生結婚をすることなく、後年は養子をせっせと育て上げたという人。

今、生きていれば100歳を越えている人だから、明治の女なのよね。
小さい体でいつもシャキっとしてて、いい女だった。いくつになっても良い意味での色気のある人。
口も悪いけど、言うことは彼女なりの筋が通ってて、私の父が言い返すことができなかった唯一の相手。

だから、私なんかもそのおばあさんから着付けを習ったんだけど、
「田舎もんじゃないんだから、こう着なきゃ駄目だよ」って言うもんだから、えい!って色っぽく着てみようとすると
「堅気の娘がそんな着方をしちゃ駄目」って言われるし、彼女のいう《粋》が、同じ江戸っ子でもなかなか理解ができなかった。
父なんかも、浴衣を着ていたりすると「田舎もんのヤクザみたいな着方をするんじゃないよ」って叱られていたっけ?

とにかく、晩年は私を引っ張りまわして色々なところに一緒に行ったけど、年寄りをつれて歩いているという感じじゃなくて、気の会う友達と一緒に遊び歩いているって感じだった。
おばあちゃんなんだけど、「おばちゃん」と言わないと叱られちゃうので、ずーっとおばちゃんのまんま。

時々、このおばちゃんの事を、思い出すのね・・・ 本を読んでいて思い出す事も多いけど・・・
彼女の生きてきた経緯を断片的に聞いたら、あまり良いイメージを受けない人も多いと思う。
だけど、私が19とか20歳くらいの時まで、見せてもらった生き方って、決して華やかじゃないけど、潔くて・・・清潔なの。
言い訳をしなきゃならないような事を一切しないというか・・・

そろそろそんな生き方を見習わなきゃならない年になったような気がしてきた。


2008.01.23
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